電子カルテと一口にいっても様々な種類があります。現在多くの病院で運用されているのはオンプレミス型とクラウド型ですが、それぞれのどのようなものなのでしょうか。
オンプレミス型は、自院にサーバーを設置してデータの保存・管理を行うタイプです。自院のコンピュータ間をローカルネットワークで接続しているため、院内だけでシステムが完結します。
オンプレミス型は多くの医療機関で使用されていますが、これは専門的な機能が備わっているのに加え、サポートが手厚く高度な医療機器との連携もしやすいからです。ただし、自院にサーバーがあるためメンテナンスやシステムのバージョンアップはその都度自身で行わなければなりません。また、データのバックアップや災害対策も自発的に行う必要があります。さらに、サーバーを設置するスペースも必要です。
オンプレミス型のシステムは一般的に5~7年程度のリース契約が主流です。運用後に使い勝手が悪く他のタイプに乗り換える場合は解約料や手間がかかります。そもそもオンプレミス型を導入する場合、端末やネットワークシステムを揃えなければなりません。そのため初期費用として約300~500万円程度かかるといわれています。それに更新費用や保守費用などのランニングコストもかかるため、オンプレミス型は資金力のある規模の大きな病院を中心に導入されているようです。
クラウド型は、インターネットを通じてクラウド事業者が持つサーバーにデータを分散して保存・管理するタイプです。コンピュータとインターネット環境、Webブラウザがあれば場所や端末を選ばずに利用できます。オンプレミス型と違い、システムのアップデートや不具合による修正はすべてクラウド事業者が行います。病院側の手間はほとんどありません。オンプレミス型に比べて初期費用や維持費が安価なので費用を抑えたい場合はクラウド型の方がよいでしょう。
また、クラウドサービスではサーバーを分散させるなどして災害対策も万全です。もしもの事態になっても別の場所にテータが保管されているため電子カルテの内容が失われることはありません。
ただし、クラウド型の場合は事業者が提供している設定やオプションをそのまま使用することになります。使いにくいからとカスタマイズすることはできません、既定の範囲内で運用していくことになります。また、インターネットを介したシステムなのでインターネットの接続が切れてしまったら電子カルテも使用できなくなります。そのような状況になっても対処できるように仕組みを整えておかなければなりません。